楽天グループ再編の衝撃!なぜ今、どうなるのか?

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楽天グループは8月10日、クレジットカード事業とスマホ決済事業を一体化するための組織再編を発表しました。この動きは、楽天が目指す「楽天経済圏」の強化と、キャッシュレス社会に対応するための戦略的なものです。では、具体的にどのような再編が行われるのでしょうか?そして、それが楽天グループにどんな影響を与えるのでしょうか?この記事では、楽天グループ再編の背景と展望について解説します。

1.楽天グループ再編の内容

楽天グループは、子会社の楽天カード株式会社(以下、楽天カード)の下に、同じく子会社の楽天ペイメント株式会社(以下、楽天ペイメント)を置くことにしました。

この楽天ペイメントは、スマホ決済サービス「楽天ペイ」や電子マネー「楽天Edy」などを手がけています。また、楽天ペイメントには、オンライン決済サービス「楽天ペイ(オンライン決済)」やポイントサービス「楽天ポイント(オンライン)」も移管されます1。これらの事業は、現在は親会社の楽天グループ株式会社(以下、楽天)が行っています。

このようにして、楽天カードと楽天ペイメントが一体となり、オンライン・オフラインを問わず幅広いキャッシュレス決済事業を展開していくことになります。この再編は、11月1日付で実施される予定です。

2.楽天グループ再編の背景

楽天グループでは、なぜ今、このような再編が行われるのでしょうか?その背景には、以下のような要因があります。

2-1 楽天経済圏の強化

楽天は、「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」という経営理念のもと、Eコマースやトラベル、デジタルコンテンツなどのインターネットサービスや、銀行や証券などのフィンテックサービスや、携帯キャリア事業などを展開しています。これらのサービスを有機的に結びつけることで、「楽天経済圏」と呼ばれる独自のエコシステムを形成しています。

このエコシステムでは、顧客が複数のサービスを利用することでポイントや特典を得られる仕組みがあります。例えば、「楽天市場」で買い物をすると「楽天ポイント」が貯まり、「楽天カード」で支払うとさらにポイントが貯まり、「楽天トラベル」で旅行を予約するとポイントが使えるという具合です。このようにして、顧客の生涯価値を高めるとともに、顧客獲得コストを低減することができます。

決済事業は、このエコシステムの中で重要な役割を果たしています1。決済事業は、顧客とのタッチポイントを多面的に持つことができるだけではありません。他のサービスへの誘導も可能です。例えば、「楽天ペイ」を使ってコンビニやレストランで支払うと、「楽天ポイント」が貯まり、「楽天市場」や「楽天ブックス」などのサービスに誘導されるという具合です。

このようにして、決済事業は、楽天経済圏の外延的拡大に寄与することができます。しかし、現状では、決済事業は複数の子会社や部門に分散しております。そのため、一体的な運営が難しい状況にあります。そこで、決済事業を一元化することで、より効率的かつ効果的なサービス提供が可能になると考えられます。

2-2 キャッシュレス社会への対応

もう一つの背景として、キャッシュレス社会への対応が挙げられます。近年、日本では、政府や民間企業の取り組みによって、キャッシュレス決済の普及が進んでいます。特に、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、非接触型の決済手段が注目されています。

このような環境下で、楽天グループは、キャッシュレス決済分野において強みを持っています。楽天カードは、国内最大級のショッピング取扱高や顧客基盤を有するクレジットカード会社です。楽天ペイメントは、国内屈指の顧客基盤や多彩なキャッシュレス決済プロトコルを有する決済会社です。

これらの事業を統合することで、楽天グループは、オンライン・オフラインを問わず幅広いキャッシュレス決済ニーズに応えることができます。また、キャッシュレス決済市場は、競争が激化しております。また、新規参入者や海外勢も台頭しています。そこで、決済事業を一体化することで、競争力を高めることも必要です。

3.楽天グループ再編の展望

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楽天グループにどんな影響を与えるのでしょうか?その展望について考えてみましょう。

3-1 楽天カード株式上場の可能性

今回の再編によって、楽天カードは国内最大級のフィンテック企業になります。その規模や成長性は、株式上場に十分な条件を満たしていると言えます。

3-2 楽天カード株式上場の可能性 

今回の再編によって、楽天カードは国内最大級のフィンテック企業になります。その規模や成長性は、株式上場に十分な条件を満たしていると言えます。実際、楽天カードは、2019年に株式上場を目指していたことが報じられています。しかし、楽天の経営方針や市場環境の変化などによって延期されていました。

しかし、今回の再編によって、楽天カードは楽天グループからの独立性を高めることができます。また、キャッシュレス決済市場は今後も拡大が見込まれます。そのため、株式上場によって資金調達やブランド力の向上などのメリットを享受できる可能性があります。もちろん、株式上場にはリスクやコストも伴います。そのため楽天カードはそのメリットとデメリットを慎重に検討する必要があるでしょう。

3-3 楽天グループの収益構造の変化

今回の再編によって、楽天グループの収益構造も変化する可能性があります。楽天グループは、現在、Eコマース事業とフィンテック事業が主要な収益源となっています。特に、フィンテック事業は高い利益率を誇ってます。事実、2020年度の営業利益は約1,500億円となりました。その中でも、楽天カードは最大の収益貢献者となっており、2020年度の営業利益は約1,000億円となりました。

しかし、今回の再編によって、楽天カードから楽天ペイメントへの一部事業移管が行われます。これによって、楽天カードの収益規模や利益率が低下する可能性があります。一方で、楽天ペイメントは決済手数料やポイント還元などのコストが高いです。利益率が低い事業です。そのため、再編後の決済事業全体の収益性は低下する可能性があります。

ただし、この再編は長期的な視点で見る必要があります。決済事業は単体では利益率が低いかもしれません。しかし、他のサービスと連携することで付加価値を高めることができます。例えば、「楽天ペイ」を使って「楽天市場」や「楽天トラベル」などのサービスを利用することで、「楽天ポイント」を貯めたり使ったりすることができます。これによって、顧客満足度やロイヤリティを高めることができます。また、「楽天ペイ」を使ってオフラインで支払うことで、「楽天経済圏」に参加していない顧客を取り込むこともできます。これによって、楽天グループ全体の収益拡大につながる可能性があります。

まとめ

楽天グループ再編の内容、背景、展望について解説しました。楽天グループは、決済事業を一体化することで、「楽天経済圏」の強化とキャッシュレス社会への対応を目指しています 。この再編は、短期的には決済事業の収益性に影響を与える可能性がありますが、長期的には楽天グループ全体の収益拡大に寄与する可能性があります。また、楽天カードは株式上場の機会を得る可能性もあります。楽天グループ再編は、今後のキャッシュレス決済市場の動向に大きな影響を与えることが予想されます。

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