米史上2番目の銀行経営破綻 影響が及ぼす経済的影響と今後の見通し

※この記事は広告を含んでいます


この記事はおよそ 6分33秒で読めます。


2023年5月1日 NHKによると、アメリカの金融当局は、経営の懸念が高まっていた銀行 ファースト・リパブリック・バンク(FRC)が経営破綻し、預金と資産を大手銀行のJPモルガン・チェースが買収すると発表しました。

アメリカの銀行破綻としては、3月に破綻したシリコンバレーバンク(SVB)を上回り、史上2番目の規模だそうです。

またスイスの大手金融グループ「クレディ・スイス」はスイス政府や中央銀行が強力に交渉を仲介し、3月19日に、同じスイスの金融最大手「UBS」による救済買収で破綻を免れましたが、さらなる不安をあおりました。

なぜ、このような金融市場で不安が立て続けに起きているのでしょうか。

1.米国銀行「ファースト・リパブリック・バンク」破綻の現状

FRCは、1985年に創業した地方銀行で、サンフランシスコやロサンゼルスのほか、東部ニューヨークやボストンなど全米8つの州に84の店舗を展開していました。

3月に相次いだアメリカで銀行の経営破綻で、去年末時点のこの銀行の預金残高のうち、保護されない預金の割合が推定で、およそ67%と大きかったことなどから、顧客が預金を引き出す動きが強まり、株価が急落して経営への懸念が高まりました。

引用:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230501/k10014054821000.html

このため、金融大手「JPモルガン・チェース」など11の大手金融機関から、経営への支援策として合わせて異例の300億ドル(日本円でおよそ4兆円)の預金を受け取りましたが、ことし1月から3月までの3か月間の決算で、3月末時点の預金残高が、去年の年末時点と比べて719億ドル(日本円でおよそ9兆6000億円)減少したことが明らかになると、再び経営への懸念が高まってきました。

その後、121ドル近くあった株価がわずか3日で80%近く株価が下がり、最終的に3ドルあまりとなってしまい、破綻してしまいました。

2.「ファースト・リパブリック・バンク」破綻原因とは:問題点と背景を徹底解説

tired black employee on street
Photo by Nicola Barts on Pexels.com

SVBが破綻したことによって、米国で地銀が連続して破綻する危険性が高まりました。SVBが破綻した原因は、FRCの大口預金比率の高さや金利上昇で含み損を抱えた資産の大きさから急速な預金流出と株価急落に見舞われたためです。

この状況にあったJPモルガンなど米大手11行が救済措置を講じ、計300億ドルの預金をFRCに預け、財務の立て直しや再建策を取り組むことになりました。しかし、FRCが発表した1〜3月期決算で3月末預金が4割減ったことが明らかになると、市場の不安が再燃し、株価は8割近く下がりました。

この結果、米銀全体で保護対象となる預金だけでも約10兆ドルあり、預金保険基金の残高はその1.3%弱しかないという制度の限界が顧客に見抜かれ、預金流出を抑えきれなくなりました。さらに、米国では2カ月足らずで地銀が3行破綻する事態となり、当局の監督体制の不備も問われることになりました。

このように、銀行破綻にはさまざまな要因が絡み合っていることがわかります。米国においては、銀行の監督体制を強化し、預金保険基金の残高を増やすなど、破綻を未然に防ぐための対策が求められています。

3.政策や規制による対策:今後の見通しと個人への影響

アメリカの地方銀行FRCの破綻により、バイデン大統領は規制当局の適切な対応を認め、金融システムが健全で強靭であることを強調しました。

バイデン大統領は、預金者が保護されており、納税者が巻き込まれていないことを明言しました。また、同じような破綻が起こらないようにするために、規制当局に対して銀行に対する規制や監督を強化するよう求めています。

政策や規制による対策として、バイデン政権は銀行規制を強化する計画を進めています。具体的には、銀行のリスク管理や貸出基準を厳格化し、適切な監督体制を整えることで、同様の破綻を未然に防ぐことが目的です。

一方で、個人への影響については、銀行の破綻によって預金が失われる可能性は非常に低いとされています。アメリカでは、預金保険制度により、預金者の預金が最大25万ドルまで保証されています。そのため、預金者は銀行破綻によって直接的な被害を受けることはありません。

ただし、銀行破綻が金融市場に与える影響や、雇用への影響などは懸念されます。そのため、政府は銀行破綻を未然に防ぐために、適切な規制や監督を進めていくことが必要とされています。

まとめ

この記事では、アメリカで発生した地方銀行の経営破綻について報じられました。バイデン大統領は規制当局が適切な対応をとったとの認識を示し、「金融システムは健全で強靭だ」と強調しました。

一方で、過去に発生したSVBの破綻に関しては、FRBが報告書を公表し、銀行の経営失敗に対して監督・規制の強化が必要だと指摘しました。トランプ前政権の下で行われた規制緩和によってストレステストの基準が弱められたことが、問題を把握できなかった原因の一つとして挙げられました。FRBは今後、総資産が1000億ドルから2500億ドルの銀行についてもより厳しい基準で対応する必要があるとしています。

こうした状況を踏まえて、政策や規制による対策が求められています。バイデン大統領は、規制当局に対し銀行に対する規制や監督を強化するよう求めるとともに、「同じようなことが起こらないようにするため対策が進んでいる」と話しています。

金融業界にとって、地方銀行の破綻は決して珍しいことではありません。しかしながら、これまでに発生した問題を教訓とし、適切な対策を講じることが、今後の金融システムの安定につながるでしょう。政策や規制の強化に加え、銀行自身もリスク管理や経営の健全化に努めることが必要不可欠となっています。

コメントいただけると励みになります!

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください