技術の日産の臨時株主総会レポート。V字回復の兆しは見られたか

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日産の株主総会に行ってきました。

 

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逆張り投資の好きな僕にとって、日産がV字回復する可能性が見られるかどうか、どんな準備があるか期待を含めての総会参加でした。

 

場所はみなとみらい駅からすぐ近くのパシフィコ横浜です。会場がめちゃくちゃでかい。でかいから遠い。まーったく都会は歩くなぁとおもいながら、会場に到着。

 

はやくも報道陣が会場前にたたずんでいました。何人か、株主がインタビューを受けています。

 

中に入ると、日産の社員の方が、たくさんの株主を会場に誘導していました。受付で議決権行使書を提出し、会場へ。

 

結局、500人弱の株主が集まっていたそうです。僕の周りには、いわゆる投資家、という感じのおじさまや、日産好きという感じのおっちゃん、若い男性や女性の姿もありました。

 

結構いろんな人が株式やってるんだということを感じつつ、自由席に着席しました。

 

内容はインターネットでも生中継されたようですが、このブログ内では、僕の感想も含めたレポートをお届けします

 

目次

 

緊張の面持ちで内田社長が議長となる

内田誠社長が議長席から挨拶し、総会がスタートしました。

 

最初に内田社長が議長となる宣言があり、総会が進められていきます

 

まずは内田社長から、総会の運営についての説明と、今回、臨時総会を開催数に至った経緯、日産がこれから描いていきたいビジョンについてが数分にわたって語られました。

 

これは終始言っていましたが、このたびの業績悪化については重く受け止めていることや、安定しない経営陣の体制を一新したこと、そして業績が回復しない場合には辞任も覚悟しているというコメントもありました。また、今期の配当は無配であることなどが説明されました。

 

残念ながら無配かー。と思いつつも、逆張り狙いの僕としては、無配は織り込み済みでした。V字回復して欲しい訳なので、株価が上がれば問題ないかなと思っています。個人的には、数々の企業が不調になったときと、対応としては同じかな、というイメージです。

 

最近だと、レオパレスも無配ですね。業績が悪化していると、日本企業はだいたい無配にします。結構日本の株主はドライじゃないんで、一期くらい無配でも、大体売りません。その辺、企業側も織り込んでいるんじゃないでしょうか。

 

タンス預金しまくるのが日本人ですので、やっぱり資産もあんまり動かさないんですよね。それよりは、業績の回復を祈って損切りしない(できない?塩漬けにする?)のが多くの日本の個人投資家です。

 

そして総会はいよいよ本編とも言える、質疑応答へ。一人2問まで。3分以内でお願いします、と議長からのお願いがありました。その後、緊張の時間がスタートしました。

 

1.すぐにヒートアップした総会

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いの一番に最初の質問者から、結構厳しい質問が飛んでいました。

 

最初の方は、無配にするなら、現経営陣の役員報酬も無しにすべき、という、投資家なら当然言いたい質問でした(というより意見かな)

 

ただこれは株主側が望むような回答を得るには難しい質問という気もしました。株主に本当に配当や株価の急騰などで報いるなら、なによりもお願いしたいのは業績の回復です。

 

経営陣が株主と同じ痛みを伴って禊ぎを受けたところで、業績が回復するとも思えません。まー株主としては腹の虫は収まらないですが。

 

経営陣の役員報酬を返上しても、株主と同じように経営陣が痛みを伴う、というだけです。

 

案の定、議長の内田社長の回答は、「重く受け止めて検討するが、この場ではお答えできない」というような回答でした。今後の業績に向けた中期計画含めて、5月に発表するつもりだそうです。

 

この次の方は、たしか女性だったと思いますが、日産の業績回復プランの発表の5月は、遅すぎるんじゃ無いか、というものでした。

 

これについても、議長の内田社長が回答し、とにかく急いで発表するよう対応を急いでいるが、かならず業績をアップさせる内容を練り込んで発表するので、いましばらく待って欲しい、という回答でした

 

その次の方も、その次の方も、経営陣のことや、役員報酬についての追求がありました。内田社長は一生懸命回答しているように見えましたし、姿勢も真摯に株主に向き合っているという感じがありました

 

ですが、各質問者とも、放しているうちにだんだんとヒートアップしていきます。会場からも、野次や怒号が飛び始めました。まだまだ質問は続くのに、はじめっからこんなに揉めて、大丈夫かな、という感じです

 

2.議論を尽くすというよりは、すべてが出来レース気味

僕が期待していた質問は、

 

 今後業績を回復するための具体的プランは?

  • 社会的信用を回復し、株価をあげるための社長や経営陣の具体的なビジョンは?
  • トヨタはモビリティカンパニーを掲げているが、日産の今後の方針の核はなに?
  • 今後日産が出す新商品は、どのような未来のクルマ社会をイメージしているのか?

あたりでした。こんな質問があって、そこに今後の日産を期待させる回答があれば、十分今後も逆張りを積んでいく価値があると思ったからです。

 

残念ながら、序盤ではそのような質問は出ませんでした。関元副社長や西川元社長の辞任について、一連の経営陣のごたつきに関する問題、ゴーン元会長への損害賠償、現在の製品ラインナップについて、中国の生産拠点とコロナウィルスについて、など、質問は多岐にわたりましたが、未来についての質問は少ないように思えました。

 

数々の株主の方が質問しましたが、あまり満足いく回答は得られない雰囲気が続きました。基本的には、株主が質問し、内田社長が回答する、たまに監査役や営業部長が回答するような流れでしたが、基本的には、ほぼすべて内田社長が回答していました。

 

ここで、僕は「あれっ?」と思い始めました。

 

内田社長の回答は、ほとんど「今後日産は変わっていって、いい会社になるよう頑張るから、待ってて見ていて欲しい」という回答におちつくのです。それ以外の質問や、時折かけられる経営陣への鋭い質問には、ほとんど回答はありませんでした。

 

内田社長の議長運営に動議が発動されたりもしました。決済は会場の過半数以上の拍手をもっておりるようでしたが、会場の拍手はまばらか、中途半端。「過半数以上の拍手が得られなかったので、次の質問に移ります」と淡々と動議発動も退けられてしまいます。

 

一度、これは明らかに過半数の拍手なんじゃないかな、というくらい大きな拍手が起こったときもありましたが、このときも、内田社長は淡々と「過半数の拍手が得られなかったので、、、」とくり返すのみ。さすがに株主の方も、もういちど決を採って欲しいと求め、これまた大きな拍手が起きましたが、結局聞き入れられませんでした。

 

株主側からの再三の動議依頼や、質問にも十分に答えることはなく、淡々と質疑応答は進められていきます。株主側の追求自体はキレのあるものもありましたが、結局はモヤッと議論が尽くされないような質疑応答がつづきました。

 

なんとなく、もう回答のテンプレが日産側に決まっているような気がしました。会場からはフラストレーションのたまる雰囲気に、ほんとに普通の株主なのかと思うくらいの怒号や野次が飛び交います。総会屋でもいるんじゃないかと思うような雰囲気でした。なかには勝手に手を上げて質問する人も。

 

穏やかに質問を開始しても、途中から激高し、自分が受けた日産ディーラーの対応はひどかったとか、なぜあの車種を辞めてしまったのか、など、個人的感情を質問に乗っける人も出てきて、だんだんと会場は解決のみえない方向へヒートアップしていきました。

 

結局、20を越える質疑応答が有り、2時間半かけ、40近い質問がやりとりされましたが、回答のテンプレがあるかのように話す会社側と、個人的な感情移入が強い株主側で、もの別れ感だけが残されました。

 

3.唯一の期待は日産の技術

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話し合いがヒートアップする中、製品の今後について質問される方が若干名おられました。ここにマーケティングの(と思われる)星野副社長が回答する場面が2,3度ありました。

 

ここで、自動運転車のリリース状況(スカイラインはもう自動運転です)や手放し運転の設備、電気自動車への技術、各セグメントにおける看板商品の外部評価や、今後に賭ける期待などが話されました

 

この場面が、少しあって良かったです。経営陣の追求やカルロスゴーン事件の一件ばかりを追求するなら、労組と裁判所でやってくれ、という感じです。

 

ですが、この追求の雰囲気の中、その部分にはあまり詳しく話されることはありませんでした。ただ、僕の期待している自動運転車や電気自動車が売れまくるような、夢のあるクルマ作りを目指し続けて欲しいです。

 

日産のプロパイロット2.0という技術は、すでにハンドルなしで高速道路を走行し、車線変更や追い越しなどもできることが確認されています。スカイラインに搭載され、商品化にむけてひた走っていうところだそうです。

 

やっぱりなにか持ってるなー。と思いましたが、現在の生産ラインや販売網ではまだ準備が十分ではないのかな、と思いました。経営陣のことはこの際さておき、現場の方々はいまこそ腐らずに、素晴らしい日産車を作り続けてほしいものです。

 

まとめ 消化不良の部分も織り込んでの日産の今後は。

まとまらない総会の中でも、社長はこれからも技術の日産であり続けることを宣言しておられました。また、日産はこんなもんじゃない。というようなことも言っていました。

 

1.すぐにヒートアップした総会

株主からは、経営陣に対する不信感で、怒号が飛び交っていました。内田社長は、淡々と回答を返していました。こういう状況で、100点満点の評価を得られることはあまりありませんが、会社の危機回避という点では、こんな感じだろうとおもいました。

 

2.議論を尽くすという寄りは、すべてが出来レース気味

株主が怒号を浴びせ、社長は淡々と質疑応答を行います。その光景は、こうなることが予想されていたかのようでした。株主の質問に寄り添って議論を尽くすわけでもなく、また株主の質問も個人の感情に乗りすぎている面も有り、なにか収拾がつかない感がありました

 

3.唯一の期待は日産の技術

日産の自動運転や電気自動車を初めとした技術面は、引き続き磨き込まれている感触がありました

 

総会全体を通してみれば、会社側の守り勝ち、と思います。決して面白い情報こそ見いだされませんでした。また会社側が今回の無配をどのくらい重く受け止めているかも、ちょっとパフォーマンス気味だったように思います。

 

現在、日産の株価は500円前後で推移しています。ここを割り込む可能性も十分あり、もしかすると、もう一度買いの場面が訪れるかも知れません。

 

残念ながらV字回復の可能性については、半々くらい、少なくとももう少し時間がかかりそうというのが個人的な感想です。

 

やはり5月の業績回復プランの発表が一つの試金石かな、という気もします。内田社長の意気込みが本当のところであれば、すくなくとも500円台は脱却できると思いますが。

 

今後もこの企業の製品と経営は見守っていきたいところです

 

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