
株式投資と一言にいっても、どこの株を買ったら良いのでしょうか。とあなたは迷っていませんか。
せっかく証券口座を開いても、また何社か株を買うにしても、なにを買うべきか。
好きな会社、親しみのある会社を買うのがよい、などと言われても、その会社の株式が伸びるのかどうかなど、誰にもわかりません。
せっかくお金を増やすつもりで株を買うのです。企業を応援するつもりで株を買っても、暴落したら面白くないですよね。
せめて、少しでもいいから、ずっと伸び続けている株式に投資したい。手堅い投資を選ぶなら、そう考える人も多いでしょう。
今回はそこで、地味ですが伸び続けている投資信託であるs&p500という商品について説明します。
s&p500の基礎的な知識と、これを利用した運用戦略、また踏まえておくべきリスクをご紹介しますので、ぜひ一読ください。
少額からコツコツと投資するのにはうってつけの投資商品です。
なにから始めていいかよくわからない、という人は、まず情報収集がてらこの記事でsp500について確認してみることをオススメします。
いまさら聞けないs&p500について。手がたい投資をスタートさせる3つの豆知識。

s&p500という商品名は、一見なんとも怪しげな横文字から始まる商品名ですよね。なんだか詐欺商品にありそうな、訳の分からない名前の商品です。
それに、株式投資をしたいのに、投資先がよくある企業名ではありません。
はっきり言って、株式投資を始めたばかりの人にとって、s&p500から買うという導入の仕方自体が、怪しさMAXという感じですね。
よくある日本の大企業名ならまだしも、このような訳の分からない投資商品を勧めるなど、典型的な詐欺の手口と思われるかもしれません。
ですので、いきなりここにいくのはちょっと怪しすぎる、という方は、もっと基本の日本の有名企業の株式あたりから始めるのがベターです。
今回はあくまでs&p500のことをざっくりと知ってもらうための記事になりますので、全身全霊を傾けず、情報収集と思っていただければ幸いです。
いい投資商品は、逃げませんし、なくなりません。じっくりと勉強して、自分の投資スタイルと釣り合うと感じたら、少額から購入してみてください。
1.sp500の概要

sp500とは一般的に呼ばれている呼称で、投資信託と言われる商品の略称です。正式名称は
スタンダード・アンド・プアーズ500種指数
となっています。
スタンダードのS、プアーズのP、500種指数の500、これをそれぞれ取って来て、s&p500と呼んでいます。
スタンダード&プアーズというのはアメリカ民間の有力格付け機関です。ムーディーズと並ぶ世界的な2大格付け機関のことで、株や債権の安全性を世界的に裏付けている組織になります。
各企業の債権や株式について、そもそも企業が倒産しないか、債権が不良化しないかなどを調査している会社です。
アメリカの格付け会社といったら、ムーディーズとスタンダード&プアーズの2社を知っていれば十分でしょう。
このスタンダード&プアーズが格付けしている、アメリカの優良な企業500社の株価指数がs&p500、というわけです。
つまり、アメリカの優良企業500社の株式を、全部一定数以上買ってつくった詰め合わせパック。これがs&p500というわけです。
世界最大の経済大国アメリカの経済は、この100年伸び続け、世界を牽引し続けています。
日本経済ではもはや伝説にもなりつつあるバブル期のような経済成長。すでに日本はこの姿を過去の栄光とあがめながら着々と傾いているわけですが、アメリカは違います。
世界2位の経済成長を誇った日本のバブル経済期。アメリカはそれ以上の豊かさと安定を100年以上生み出し、今なお維持し続けているのです。
古くはブラックマンデーから始まる世界恐慌、そして世界大戦、その後の冷戦、またここ20年でも世界同時テロやリーマンショック。
アメリカ経済はこのような巨大な暴落を経験しながらも、なお伸び続けています。
全世界的に、株式は成長を続けているわけですが、なかでもアメリカ経済はダントツで、その強さ、長さもトップです。
この、長期的に強いアメリカ経済を代表する500社の株を全て買うとしたら、どうでしょう。
かなり堅実かつ理想的な分散投資ですが、とても現実的ではありません。
例えば一社あたり一株が1万円程度だとしても、500社となったら500万となってしまい、投資初心者ではとても買えないからです。
しかも、500社の株式の動向を毎日1人で追い切ることなど、これもまたできません。さらに500社の日々変化する優良度の確認や、銘柄の入れ替えとなると、もはや不可能です。
ですが、s&p500という詰め合わせパックを利用することで、アメリカの優良企業500社に個人が安全に投資することができます。
また、信託報酬という手数料もかなり低いですので、経費効率もよい投資商品になっています。
2.sp500を利用した運用戦略

sp500は、投資信託、という投資商品になります。
つまり1社ずつに投資するのではなく、あらかじめ500社に分散投資して、それを小分けパックにした商品を買うという投資商品です。
たくさんの会社に分散投資するのは、たとえ一社が不祥事などで暴落しても、残りの数百社がカバーするので、価格が平均化されやすくなります。常に一定の価格を維持できるのです。
500社にいっぺんに投資するなど、昔は大金持ちでもなければできない方法でしたが、投資信託があるおかげで、少額投資が中心の一般人でも、こうした投資ができるようになりました。
ただし、sp500はこうした特性から、価格の上下動は大きくありません。過去10年の値動きをみても、一ヶ月後に価格が倍になる、といったことはありません。
ではやっぱり儲からないではないか、と言われそうですが、一概にそうとは言えません。
今月投資して、来月1.5倍、もしくは2倍になる、などを期待するタイプの投資商品ではないからです。
sp500は貯金のようにじっくりと積み上げていくことで、大きな投資効果をもたらす商品です。このことを踏まえて、この投資商品を活かしていきましょう。
sp500に投資した場合の、年利回りは5〜10%と言われています。過去のデータから紐解くとだいたい7%前後に落ち着きます。
100万円を投資すると、翌年には7万円ふえて107万円になる、というイメージです。
この1年目だけでも、まずまずのインパクトですが、こうした投資信託は、長時間をかけて資金を積み上げていくことで、より一層の効果を引き出します。
この辺りは複利の力について理解する必要があります。
複利については別の機会に説明しますが、とにかくここでは毎年100万円を貯金するのと、毎年sp500に100万円投資するのとでは、10年後の総額に大きな差が出ることだけ説明します。
過去10年間のsp500の年利回りの平均は、なんと10%でした。
10年間毎年100万円ずつ積み立てた場合で考えてみます。
貯金なら10年で1000万円ですが、sp500ならば3年も早い、7年で1000万円を突破する計算です。
さらに10年目には1700万円と、かなりの大差となってしまいます。
しかも10年目は配当による収益だけで100万以上増えてしまいます。年収400万円の会社員のざっくり三ヶ月分の収入が、何もしないで手に入るようになってしまうのです。
この計算は、過去10年のsp500の運用益が好調だったことなどがもちろん背景にあります。
しかし長期投資が貯金に比べて大きく差を生むことや、大きな可能性を秘めていることは理解できるのではないでしょうか。
このように、長期的に、またコツコツと資金を投下することで、最終的に大きな大輪の花を咲かせていく。これがsp500を用いた投資戦略となります。
3.sp500の押さえておくべきリスク

ここまでは、sp500の概要と、メリットについて紹介して来ました。
もちろん、投資ですので、リスクはつきものです。ですので、ここからは押さえておかなければいけないリスクについて4つほとご紹介します。
①運用利回りが下がる可能性
一つは、運用利回りが下がってしまう可能性です。
当たり前ですが、500社に投資しているとはいえ、全て株式ですので、株式会社全体の成長が止まれば、利回りは下がり、暴落します。
価格自体も、かなり下がってしまう可能性があります。
株式会社の成長が止まる、というのは、資本主義が終わる、ということです。
世界の潮流として資本主義が終わり、例えば社会主義に取って代わったり、新しい経済思想が広がることがあれば、成長は止まるでしょう。
②分散投資している先が、全てアメリカ株式
投資商品というのは、なにも株式だけが全てではありません。債権や不動産、金や先物と言った実物資産、ワインや絵画などの芸術品などさまざまにあります。
その中で、株式だけに特化して投資しているのがsp500です。本来、分散投資というのは、さまざまな投資商品に分けて投資して始めて分散が効くのです。
有事の際には株が暴落し、ゴールドや不動産の価値が上がります。このように、種類の違う投資を組み合わせるからこそ、どんな景気変動にも対応できる分散の効いた投資となるわけです。
戦争や疫病などが起きると、どうしても経済成長は一旦足踏みとなります。ひと段落するまで、経済活動は先送りとなるからです。
こうなると、いくら500社に分散していても、株式会社そのものの活動が制限されますから、やはり暴落してしまいます。
またsp500はアメリカの優良企業500社に投資する、ということですから、アメリカという国家の経済が行き詰れば、暴落は必至です。
なかなかあり得ない可能性ではありますが、株式会社の活動が止まる、アメリカという国家が止まる、ということがひとたび起これば、sp500への投資は急激に危険になります。
それだけに、いくら評判がよくてもsp500一本に全額投資で行く、というのはおすすめしません。
株式市場が暴落しても耐えられるよう、一定の貯金をのこしたり、ほかの投資もしておく、または自分自身で稼げるようにしておく、などということはとても大切な分散投資なのです。
③長期運用に、投資家自体が耐えられなくなる
先ほどの例のとおり、コツコツと積み立てていく、という点では貯金よりも遥かにリターンの可能性が高まるのがsp500ですが、難点もあります。
それは、資産として成長するのに大変時間がかかるということです。
10年20年と長期に同じものに投資していく、というのは並大抵の精神力ではありません。
よく、投資したらほったらかせばいい、という話もありますが、やってみればこのほったらかすというのは、実際相当な精神力が必要です。
他の投資に目移りすることもあるでしょう。昨今は仮想通貨やNFTなど、新しい投資もどんどん出てきています
もしあなたが新しもの好きであれば、sp500に投資し続けるなど、耐えられないかもしれません。
なりより、コツコツ10年20年投資した結果、もし大損などしたとしたら、過ぎた時間はもう取り返しがつきませんね。
また、10年もあれば、生活のさまざまなシーンで予定外のことが起こります。たくさんのお金が必要になることもあります。
投資家自身は投資を続けるつもりでも、生活上の問題でキャッシュアウトすれば、市場からの撤退を余儀なくされてしまいます。
子供の学費や親の介護、結婚や突然の引越し、急な冠婚葬祭など、予定をはるかに上回る出費があったりして、やむなくこの投資資金を頼ることがあるかもしれません。
そうしたライフステージの変化、投資家の心境、人生の方向性の変化などで、毎月の固定費が上がってしまうかもしれません。
貯金や生活防衛の資金を削った結果、投資している資産も削らなければならないという事態が起きることもあります。
この予定外、まさか、という事態を踏み越えて、一定額をコツコツ絶やさずに投下し続けなくては、長期投資は成功しないのです。
④為替リスク
アメリカの企業に投資する、ということは、少なくとも為替に触れることになってしまいます。
当たり前ですが、せっかくアメリカ企業が年10%成長しても、昨年より10%円高になったら、何の意味もないのです。
逆に、10%円安に触れれば、リターンはさらに大きくなります。
2022年4月時点でsp500は堅調に成長を続けていて、sp500信者の儲け話がSNSを賑わしつつあります。
ですが為替も円安が続いている、というラッキーな背景は踏まえておいた方がいいでしょう。
まとめ 軸になる投資ができれば、より賢く投資できる

ここまでの話をまとめると
1.sp500の概要
話題の投資信託であるsp500について、その概要をご紹介しました。
2.sp500を利用した運用戦略
sp500の製品特性を活かして、長期投資や積み立て投資といった戦略が有効であることを説明しました
3.sp500の押さえておくべきリスク
sp500で投資をして行くに当たって、注意すべきりすくについて述べました。ポイントは4つで①利回りや価格の暴落②すべてアメリカ株式に投資していること③長期の運用に耐えられるか④為替リスク です。
となります。
全体的にみてsp500は、投資リターンは大きく、暴落にも耐え、手数料も安く、価格も比較的安定しており、多くの投資家の信用を得ている、、といったところから、初心者向きの投資商品だと言えます。
とはいえ今後の資本主義の動向、アメリカ経済の成長度合い、あなた自身のライフスタイルの変化、為替の変動などがあれば、とたんにリスクともなり得ます。
あまり見たことはありませんが、長期投資でもし失敗する、となれば、金額的にも精神的にもその損失は短期投資の比ではありません。
とはいえ、最悪な想定ばかりしていても、何も始まりません。そのリスクを抱えるからこそ、投資ともいえます。
sp500にしても、手持ちの全額を投資しない、脱出する暴落ラインを決めておく、債権やRIETも買っておく、などリスクをコントロールする対策を自分でつくるのもよいでしょう。
それもまた、投資の醍醐味ですし、楽しさです。
一度持ってしまい、意外とリスクに触れず、むしろ資産が増えたりすると、気持ちも嬉しくなり、ワクワクするものです。
sp500にはむしろ、そうした投資の楽しさを与えてくれる期待感があります。
自分に合った投資法というのは、本当にそれぞれの人の人生のようにさまざまです。
ですが、手堅く、コツコツと、成長しているアメリカ企業で投資していきたい、という方には、投資の軸になり得る投資商品です。
sp500を中心に、ほかの商品についても興味が湧いてくれば、いろいろと組み合わせてみるのも楽しいとおもいます。
投資の知識や知恵もつき、より賢く資産運用ができるようになりますよ。
SBI証券や楽天証券などのネット証券で簡単に検索、購入できますので、ぜひご自身で検索して購入してみてください。
くれぐれも証券マンや銀行員に頼まないことをお勧めします。ほかの手数料のかかる商品を抱き合わせで購入させられるなど、騙されますので注意です。
今後もさまざまな投資商品や制度、その、組み合わせ方について紹介していきますので、ぜひ一度お立ち寄りください。